投稿日|2018.3.24
後遺障害(後遺症)とは、交通事故によるケガの治療を継続して、病状が固定した後、これ以上の改善が見込めない状態で、
身体に障害が残った状態をいい、ケガに対する保険金(上限120万円)とは別に、⓵逸失利益と⓶慰謝料を損害賠償として
請求できます。
*後遺症の認定は保険会社とは別組織で
交通事故によるケガを治療しても、ある時期に達しますとそれ以上の改善が見込めない状態になることがあります。
医師は、この状態になりますと診断書に、「平成〇年〇月〇日をもって『治癒』もしくは『症状固定』」と記入します。
この状態で、被害者の身体に一定の障害が残っていた場合、これが果たして後遺障害として判定されるか否かにより、被害者の請求
できる損害賠償の範囲が違ってきます。
後遺障害に当たるのではないかと思った場合には、主治医に「自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書」または「自動車損害賠償責任保険
歯科後遺障害診断書」に、「各部位の後遺障害の内容」等の所定事項を記載してもらい、保険会社を通じて、各地区の調査事務所に後遺障害の
認定の申立てをします。
調査事務所は、保険会社とは別組織の損害保険料率算出機構という機関が設置している事務所で、ここで、後遺障害に該当するのかどうか、
また該当する場合には自賠責保険の支払保険金額や「後遺障害別等級表」「自賠責法施行令2条」に応じた後遺障害の等級認定を行います。
*後遺障害の認定に不服があれば異議申立てができる
後遺障害の等級認定は非常に厳しく、申立てを行っても「非該当」、すなわち後遺障害ではないと判定されることも多く、後遺障害と認定
されたとしても被害者が感じていたよりも低い等級で認定されることもあります。
この場合には、被害者の身体的な障害をさらに詳細に明記した追加診断書や後遺障害の状況を明らかにした写真等のいろいろな検査資料を添えて、
保険会社を通じて異議の申立てをすることができます。
最終的に調査事務所から後遺障害の認定が得られない場合であっても、裁判による場合には、裁判所が後遺障害の認定をして、その分の
損害賠償を認めてくれることもあります。
*自賠責保険の場合、等級に応じて保険金が支払われる
自賠責保険では、後遺障害と認定されますとその等級に応じて、下記の範囲内で治療費等の120万円の自賠責保険金とは別枠で、
⓵後遺障害による逸失利益と⓶後遺障害の慰謝料とを合計した保険金が支払われます。
〇 介護を要する後遺障害等級別の自賠責保険金額
第1級・・4000万円 第2級・・3000万円
〇 後遺障害等級別の自賠責保険金額
第1級・・3000万円 第2級・・2590万円 第3級・・2219万円 第4級・・1889万円 第5級・・1574万円 第6級・・1296万円 第7級・・1051万円
第8級・・819万円 第9級・・616万円 第10級・・461万円 第11級・・331万円 第12級・・224万円 第13級・・139万円 第14級・・75万円
この保険金額は、自賠責保険で支払われる上限の保険金額です。加害者が、もし任意保険に加入していない場合、後遺障害によってこの保険金額以上の多額の損害が発生
しても、この金額以上の保険金は支払われません。