投稿日|2018.3.14
給与所得者(サラリーマン・OL)の場合には、交通事故前の実際の給与額を基準として、ケガによる入通院のため
仕事を休んだことによって、現実に得られなくなった収入額(減収額)が損害として計算されます。
*給与所得者は事故前の給与額が基準
交通事故前の実際の給与額を基準として、ケガによる入通院のため、仕事を休んだことにより、減収となった金額を請求できます。
給与額には、本給・家族の扶養手当・賞与も含まれます。
また、ケガにより長期間欠勤したため、この間の昇給や昇格が遅れて減収となった金額も請求できます。
*日雇・非常傭日給者は事故前3ケ月間の収入が基準
原則として、事故前3ケ月間の収入総額を基準とします。
なお、事故前の3ケ月間の収入が、年間を通じて多いこともあれば少ないこともありますので、算定に際しては事故時の契約状況や
季節的な要因等も考慮されます。
*会社の役員は労働対価部分のみ
会社の役員報酬は、通常はその役員の労働対価に対する分と利益配当的部分とで構成されていますが、このうち労働対価に対する分だけが
休業損害として認められます。
また、交通事故でケガをしたため休業中の役員に対して、会社が役員報酬を支払っていた場合、この役員報酬のうち、その役員の労働対価部分は
会社の損害として請求することができます。
■ 判 例 ⓵
〇航空機関士の休業期間中の定期昇給分・一時金を認めた裁判例。
〇タクシー会社の営業所長から、系列会社の事故係に降格・配置転換されたことによる、被害者の昇給差額を認めた裁判例。
さらに、有給休暇を利用して治療を受けた場合、費した有給休暇分の休業損害が認められることもあります。
■ 判 例 ⓶
〇福岡市消防局に勤務する者が、休業期間中に報酬を得ていても、有給休暇を利用して収入の減額を免れたことを理由に、入院期間中に
得ることのできた収入額を休業損害として認めた裁判例。
〇交通事故により休業したため、翌年度の有給休暇20日分カットされた場合に、このカットされた有給休暇を休業損害として認めた裁判例。
■ 判 例 ⓷
〇事故前に月額100万円、事故のあった月のみ50万円、その後1年間無報酬となり、この後50万円の報酬を受けていた会社の代表者について、
会社の規模・業務内容・この代表者の担当職務等を考慮して、月額100万円のうち労働対価部分を60万円と認めた裁判例。
〇会社役員の事故前の報酬のうち、8割を労働対価部分と認めた裁判例。