投稿日|2018.4.3
交通事故によりケガをして治療を受け、病状が固定したものの後遺障害が残った場合には、これまでどおりの
仕事ができなくなり、収入が減ってしまいます。この減収分に対する損害を、後遺障害による逸失利益として請求することができます。
*新ホフマン式係数かライプニッツ式係数で
逸失利益の算定方式は、原則として基礎収入額に労働能力の喪失割合を乗じ、これに就労可能年数に応じた喪失期間に対応する
新ホフマン式係数またはライプニッツ式係数を乗じて算定されます。
*逸失利益の算定方法
例えば、年収500万円の50歳の会社員Cさんが、交通事故で一方の腕をひじの関節以上で失った場合、後遺障害等級表によれば、第4級
4号の後遺障害と認定されます。
年齢50歳では、就労可能年数が17年、新ホフマン係数が12077、ライプニッツ係数が11274とされています。後遺障害が重い例
ですので就労可能年数の17年分が、そのまま労働能力喪失期間として認められます。
さらに労働能力喪失率により、第4級を見ると、労働能力喪失率が92/100とされています。これは、Cさんの労働能力が92%喪失して、
今後この分の収入が減るであろうということを意味しています。
自賠責保険では、後遺障害第4級の場合、逸失利益と後遺障害慰謝料分と合わせても、1889万円が上限ですのでそれだけしか支払われません。
残りは、任意保険で支払われるか、または加害者側の負担となります。
※ 労働能力喪失期間
労働能力喪失期間は、四肢切断や下肢短縮のような気質障害の場合には、原則として就労可能年数まで喪失したとされますが、比較的軽い機能障害や
神経障害については、喪失期間が短縮される例が多いようです。
むちうち症の場合には、後遺障害の認定をされる事例は極めて稀です。また仮に後遺障害別等級12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの)であっても、
労働能力喪失期間は3年ないし5年程度、後遺障害別等級14級9号(局部に神経症状を残すもの)の場合には、労働能力喪失期間は2年ないし3年程度とされる
裁判例が多いようです。
労働能力喪失期間は、同程度の後遺障害等級であっても、被害者の年齢、職業、機能回復の見込み等の状況によっても異なります。
しかもこの喪失期間の年数によって、逸失利益の損害額に大幅な差がでてきますので、示談をする前に交通事故の損害賠償に詳しい
弁護士に相談されたほうが無難であるといえます。