投稿日|2018.3.20
家事従事者とは性別・年齢を問わず、現に主婦的労務に従事する者をいい、女性に限りません。
無職者とは、金利生活者、地主、家主、恩給・年金生活者、幼児、小学生、中学生、高校生、大学生、
生活保護法の適用者、その他で、労働収入のない人のことです。
*家事従事者は賃金センサスで
⓵ 家事従事者は、交通事故によるケガのため家事に従事できなかった期間について、休業損害を請求することができます。
その際には賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計の女子労働者の全年齢平均賃金または年齢別平均賃金
を用いて、女子労働者の平均年収額を基準にして、損害額を算定します。
⓶ 事故前にパートや内職による収入を得ていたとしても、その収入額を⓵で求めた収入額に加算することはしません。
パートや内職による収入が賃金センサスの女子労働者平均年収額未満のときは平均年収額を基準に、平均年収額以上のときは
実収入額を基準に算定します。
⓷ 休業日数は、現実に家事労働を休んだ日数ということになりますが、給与所得や事業所得者とは違って、比較的長期間休業した場合には、
ケガの部位・程度、治療内容等に応じて、通院期間中には段階的に休業損害額を減少されたり、あるいは全休業期間を通じて、一定の
割合で減額されるのが実情です。
⓸ 被害者が主婦で幼児を抱えており、家政婦を必要とした場合のように、代替労働力を利用したときには、必要かつ妥当な費用額が休業損害
として認められます。
*学生も賃金センサスで
⓵ アルバイト収入が明確な場合には、治療のためアルバイトを休んだ減収分を休業損害として請求できます。
⓶ ケガの程度が重く、長期間の治療のために、卒業や就職の時期が遅れた場合、就職が遅れたことによる減収を休業損害として請求できます。
※ 事故と留年との相当因果関係が認められ、留年分の大学の授業料、通学交通費、および卒業が遅れたことによる当初卒業見込時における
賃金センサス上の大学卒の平均賃金を基準に休業損害を認めた裁判例があります。
*無職者には休業損害は発生しない
地主や家主は、地代や家賃収入があっても、無職者とされます。交通事故によってケガをしても収入には影響がありませんので、
休業損害は発生しません。
*失業者には認められる可能性もある
⓵ 失業中の者に対しては、原則として休業損害は認められません。
⓶ しかし、失業していても、労働能力や労働意欲があって、事故前から就職がすでに内定していた場合、あるいは事故にあっていなければ、
その治療期間中に就職できたと思われるような場合には、休業損害を認められる可能性があります。